わさビの鑑賞記録

つらつらと。

映画 流浪の月 

「流浪の月」

 

原作を初めて読んだ時、これ以上に愛することのできる作品はあるのだろうか、そう漠然と思ったことを思い出した。

 

公開からかなり経ってしまい、終映間近になった今日 ようやく流浪の月を観た。

 

賛否両論あるこの話題、賛否というより否定しか生まれなさそうなこの話題。小説だからこそ許される話題でもあるけれど、それを実写化。しかも、有名すぎる俳優陣。

の割には、注目されていないのはやはりこのテーマにあるんだろうか。

そう思わざるを得なかった。

 

この映画、音がとても綺麗に描かれていたのが印象的だった。

李監督の作品は音がないことが多かったんだけれど、流浪の月は「音」をかなり意識して作ったんじゃないかと思わされるほど、ファーストカットから「音」が綺麗に心に届いた。

 

「ブランコの錆びた音」から始まるこの物語、あの音を聞くと「孤独」を感じるのはなんでだろう。あの音は静かな公園にしか鳴り響かないものだと、いつから認識していたんだろう。

 

途中で鳴り響く「楽しい音」もふたりの世界でしか鳴っていないし、二人しか知らない音。ずっと鳴り響いてほしかったあの音が、二人から消えた瞬間。

更紗の目から光が消えた。あの心情を目だけで表現した広瀬すず。やはり上手だと思った。あの「目の演技」をするまで、どれほどまで自分を追い込んだのか、考えるだけで胸が締め付けられた。

 

文と更紗だけにしかわからない世界で、わからない感情で動き続けるこの世界に、土足で上がってくる人たち。「心配」という名の軽蔑。

 

「なにもない」ことを説明しても「それは違う」と言われてしまう悲しさと、絶望。

なにをどう頑張って伝えることができたら、あんな風に「そこにある感情」が受け入れられたんだろう。

 

文と更紗が自由になるには、二人だけの世界を「二人にしか知らない世界」で作り上げるしかなかった。幸せが誰にも邪魔されないように、そう願うしか他ない。

 

体育座りをした文に「あの頃のお父さん」が重なったからなんだとしてもそれでも更紗が文に求めるその感情も、文が抱く「不完全なもの」に対して安らぎを求めてしまうことも、全部“恋”じゃないのにそうなってしまうことがとても苦しいなあ。と思う。

 

 

 

フタリノセカイ 感想

 

監督:飯塚花笑

キャスト:坂東龍汰

     片山友希

あらすじ

  • 出会った時から違いに惹かれあった、トランスジェンダーの真也とユイ。恋愛し、いずれ結婚して家族を作り、共に人生を歩んでいきたいという願い。だが、その願いを叶えるには、一つ一つクリアしないとならない現実があった。時にすれ違い、別々の道を歩むが再び出会ったフタリ。愛を確かめ合い、ある決断をする。
    それはもしかすると常識を超えているのかもしれないだが、安らぎに満ちた二人には、確かに感じる未来があった。

 

 

「好きだから」一緒にいたし、「好きだから」子どもが欲しいという戯事が戯事ではなくなったし、「好きだから」結婚したいと心から思ったユイと。「好きだから」結婚したくてたまらないと思っていたし、「好きだから」自分が女であることを言い出せずにいたシン。どちらも悪くなくて、どちらも正しいと感じた。

 だからこそ、真実を知ったときにユイは戸惑ったし、シンは「結婚したい」としか言えなかった。ユイがシンに対して乱暴的な態度を取っていたのは、怒っていたのではなくて、どうすればいいのかわからなかったからだと思う。ずっと異性だと思っていた人が、本当は同性で、性転換手術を受けるかもしれないと告白があった。

 これからどのように接すればいいのかも、これから自分と相手がどのようになっていくのかも想像なんてできないし、想像すらしていなかったと思う。それでも受け入れようとたくさんもがいて苦しんだユイはとても美しいと思ったし、だからシンはユイに惹かれたんだとすら思う。

 

 シンと別れたユイは、別の人と結婚するけど全く笑わないユイを見ていると心がギュンとした。「好き」だけじゃどうにもならないよ、とよくいうけれど、「好き」だけでどうにでもなる。

 

「好き」が存在しない関係性はなんと呼ぶんだろうか。

 

 ユイはあの時、旦那さんを本当に好きだったんだろうか。子どもがなかなかできなくて病院に通っていたんだと思うけれど、お医者さんがアドバイスしているのを聞いているのか聞いていないのか分からなかったし、本当は二人の子どもなんて欲しくなかったんじゃないかなと思う。そこでユイは「子どもがほしい」のではなく、「シンとの子どもが欲しい」ことに気づいたのかなとも思う。

 

 シンから連絡先を渡されて簡単によりを戻した二人を見ていると、本当はどこかでどちらかが迎えに来てくれるんじゃないかと、心の中では思っていたのかもしれない。二人でいる時の二人がとても自然で、違和感なんてなくて、逆に不自然に感じた。「好き」だけでそんなにも二人が生きているように見えるのは「好きだから」こそなんだろうな。

 

 よりを戻したユイとシンが二人の将来を考えた時、やっぱり子どもが欲しいと願うわけだけど。それでも二人の間に子どもができることなんて絶対にないのは分かっていた二人が出した答え。「シュンペイとの子どもを作る。」なの、とてもすごいなと思ったし、本当に愛しているのだなと思った。

 血がつながっていなくても「二人をつなぐ宝物」がほしいと思ったんだろうし、まあそんな簡単な言葉では表してはいけないのだろうけど。その決断をした二人も素敵だし、受け入れたシュンペイも本当に素敵な人だなと思った。泣きながら「私でいいの?』って投げかけるシュンペイは「愛されることなんかない」と悟っていた時からずっと、本当は「愛」の形が欲しかったんだと感じた。

 

  「誰からも愛されない」と笑顔でいったシュンペイ。本当は、誰かと一緒に生きてみたいと思っていたんだと思うし。その二人の愛を信じたシュンペイは、シュンペイにとって最大級の「愛」の形なんだと思う。

 結局、シュンペイとユイの間の子どもは生まれることなかったけど、それでも「やっぱり、二人にとっての子どもがほしい。」と願う二人にとても感動した。「愛の形」を知るのに、「感動」という言葉があっているのかはわからないけれど、心の底から素敵だと思ったし、私にもいつかそんな相手ができるのかな、と考え込んでしまった。

 

 シュンペイとユイが性行為をして子どもを作ることに対して「気持ち悪い」「非常識」「ありえない」などという人がいるのであれば暴動を起こしてしまいそうです。

 

 「幸せ」と感じる相手が同じなのに、「指向が違うから」と言って投げ出すにはあまりにも空虚だ。になったし、

映画「ひらいて」を観に行ったら山田杏奈ちゃんの沼に落ちた話

タイトルの通り、俳優の山田杏奈ちゃんに沼落ちをした。

沼るタイミングは今までも何度かあって、映画「ひらいて」を観に行ったのも、”気になっている”山田杏奈ちゃんが出ていたからという単純な理由だった。(もちろん綿矢りささん原作と知っていたのもある)

 

観にいく前までは、物語を楽しみ山田杏奈ちゃんの闇をさらに感じられたら嬉しいな、程度だった。こんなことになるとは思いもしなかった。

 

開始10分程度で私は悟った。

 

「これは、好きだ、やばいぞ。」

 

校庭で夕立ダダダダダッを踊る姿が流れるんですよね。あの映像だけで一生語れそうなくらいの衝撃と好きが溢れてしまった。そのあとは物語に集中するよう取り繕うのに必死。

 

(映画観終わって即プレイリストに追加した。こうしてキーボードに書いている今も、山田杏奈ちゃんのあの表情が忘れられなくて、ひたすらに好きが溢れている。この感情はなんだろうか。わかる人がいるなら挙手をして教えて欲しい。木村愛ちゃん、全てが沼で抜け出せない。どうして出会ってしまったんだろう。屋上の空を少し見上げているシーンいいですよね。円盤まだですかね。)

 

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物語が進むにつれて、「木村愛」の気持ち悪さと、美しさが加速してもう誰にもこの子を止められないんだろうなと思った。「木村愛」を演じる山田杏奈ちゃんの冷たい目・瞳の揺れから目が離せなくて気づいた時には、山田杏奈の沼に落ちていた。

 

この作品に出会えたことは人生の中でも一生忘れない。

 

そもそも、彼女の作品を意識的に見るようになったのはいくつかきっかけがあった。

 

まず、グッドドクターに出演していたこと。(その役は高校生くらいの子が妊娠するって話の回だったと思う。)リアルな泣きの演技になんとなく心が奪われて、素敵な若手の子が出てきたんだなと思った。

程なくしてストロベリーナイトサーガを見ていたら、彼女が出てきた。どこかで見たことあるな、と検索をしたら「例の彼女」だった。

それくらい、ストロベリーナイトサーガに出ていた彼女は印象的でかっこ良くて少し怖かった。

 

そこで、「山田杏奈」という名前なのだと知った。

 

その後の主演映画「ミスミソウ」衝撃的のオンパレード。私はグロい作品が苦手だったんだけど、白い雪に散る血と山田杏奈ちゃんの白い肌が似合いすぎて、見た。

全員とち狂ってるのに気持ち悪くないんですよね。キャストさんも本当に全員良かったと心底思っているし、山田杏奈ちゃんの演技も素晴らしかった。憤りを感じているはずなのに爆発せず、静かに復讐していく様子がリアルでは考えられないのに、「自分も同じことをしてしまうのかもしれない」とどこか人ごとは思えなくった。

 

ミスミソウとち狂ってるけど本当に綺麗なので、ぜひ、、、

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まあそこからは出ているドラマは大体リアルタイムで見ていた気がする(気がする)書けない!?の山田杏奈ちゃん、めちゃくちゃ可愛いかったなあ。(懐古)

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そんな具合で少しずつ少しずつ、山田杏奈ちゃんの作品をみるうちに、「気になる」から「好き」へ変わっていった。

 

ずっとただの幼馴染みだと思っていたのに、気づいたら異性としていた。みたいな少女漫画的あれと同じ。

 

写真集発売まで後少しですね。しっかり予約しているので発売が楽しみです。

これからの役者人生に幸あれ。

と願っております。来月公開映画も元々観にいく予定だったんですけど、より楽しみになりました。最高!!!!!

 

ひらいて

ひらいて

 

原作 綿矢りさ 

監督 首藤凛 

主演 山田杏奈

 

ーーーー高校1年生の頃からずっと好きだった、たとえ君。でもその人には秘密の彼女がいた。ーーーー

 

教室から始まるカット、その風景がたとえ君の席から見える景色になっていて、全ての物語はたとえ君から始まるんだと感じた。

 

たとえ君がみゆきを好きになったのはすぐに分かった。他人のために悲しめて、嬉しい時は笑う。そして自分のために微笑んでくれるみゆきは人としてもとても素敵だと心から思った。それとは対照的に愛が抱くたとえへの感情は「自分はたとえが好き」という事実だけで暴走し周りを破壊する。破壊したことにも気づいていない、破壊することがいけないことだとも思っていない。

 

愛は自分が人と何かが違うことに気づいていない。

 

たとえが愛に「嬉しいならそれを身体で表現しろよ」と命令口調になるシーン。愛にとってはそれができない。自分のために笑顔を作り自分の欲望のままに生きてきた愛にはできない。それに気づいた愛はどんどん狂っていく。その様子が滑稽で、でもなんだか美しかった。そこまでして誰かの隣にいたいと思える愛が羨ましいとさえ思った。

 

「自分が心をひらいていたのは誰だったのか」を知るのは卒業式の日にみゆきが愛にくれた手紙を読んでからだったけど、気づくのが遅すぎるような気がした。愛にとってのたとえ君は自分の全てで、自分の世界にはたとえしか存在していない。

「狭い世界で二人で生きていけばいい」とたとえに言った愛。

 

その言葉は自分に向けられているということも知らないまま大人になっていくんだろうか。二人しか存在しない世界の中でも自分を守ることに必死だった愛に残るものは自分しかいないとうことに気づかないまま大人になるんだろうか。

 

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山田杏奈ちゃんが演じる愛は異常でとても愛してしまいたくなるくらい狂っていた。杏奈ちゃんの目が笑っていないのに、惹き込まれてしまうあの目力がとても印象的だった。いつから山田杏奈ちゃんに注目していたのか忘れてしまったけど、ひらいてを見てもっと作品を見ないといけないなという使命感に襲われている。彼女が演じる役にはどこか空っぽな雰囲気があり闇とは少し違う。彼女が演じるからこその空虚感や身近に感じたことのある漠然とした悩みのような種。きっと消えることないような痛みや苦しみさえも自分が抱えているかのように感じる。

宇宙でいちばんあかるい屋根 レビュー

監督:藤井道人

出演:清原果耶 桃井かおり 伊藤健太郎 吉岡秀隆 坂井真紀 水野美紀 山中崇 醍醐虎汰郎

 

あらすじ(公式より引用)

お隣の大学生・亨(伊藤健太郎)に恋する14歳の少女・つばめ(清原果耶)。優しく支えてくれる父(吉岡秀隆)と、明るく包み込んでくれる育ての母(坂井真紀)。もうすぐ2人の間に赤ちゃんが生まれるのだ。幸せそうな両親の姿はつばめの心をチクチクと刺していた。しかも、学校は元カレの笹川(醍醐虎汰朗)との悪い噂でもちきりで、なんだか居心地が悪い。つばめは書道教室の屋上でひとり過ごす時間が好きだった。ところがある夜、唯一の憩いの場に闖入者が――。空を見上げたつばめの目に飛び込んできたのは、星空を舞う老婆の姿!? 派手な装いの老婆・星ばあ(桃井かおり)はキックボードを乗り回しながら、「年くったらなんだってできるようになるんだ――」とはしゃいでいる。最初は自由気ままな星ばあが苦手だったのに、つばめはいつしか悩みを打ち明けるようになっていた。

 

つばめの気持ちとリンクする空 

 つばめの気持ちが沈んでいる時は少し雲が多くなり、気持ちが晴れている時はとてもきれいな夜空になる。透き通った青が似合う作品だ。映画を見終わっていちばん初めに感じたことは、毒のない映画、そして優しい。

 いちばん最初に映し出される空から街を眺めるような描写。まるで宇宙だ。「きれい」と言ってしまいたくなるくらい、澄んでいた。街並みを見て、澄んでいるなと感じることはあまりないかもしれない。それでもこの映画はすべてが爽やかだった。白が似合うような純粋さではなく、青が似合うのだ。それは始終映し出される夜空だけのせいではない。

 

つばめと星ばあ

 家族や学校のことで悩むつばめは、通っている書道室の屋上が自分の居場所のように感じているが、そこで出会うのが星ばあだった。出会いも唐突で、別れも唐突だ。つばめは星ばあに対して、最初は好意的な気持ちはなかったが、次第に心を開いていく。あの2人のツッコミを見ているとクスッと笑ってしまう。

 つばめにとって星ばあは特別な存在になっていく。それが所々で描かれている。水族館のシーンでは、台詞はほとんどなかったが、2人の楽しげな雰囲気も、つばめにとって星ばあが特別な存在であることも描かれていたように感じた。2人がお揃いのストラップを買った時、なんだか心が温かくなった。

 

演者さんの光る演技

 つばめの母である坂井真紀さんと、父である吉岡秀隆さん。丁寧で繊細な演技だった。それこそ、この映画を見た後に感じた「優しい」というのは、この2人の演者さんから感じたのかもしれない。

 坂井真紀さん演じる、つばめの育ての母は、つばめの実母が現れた時に突っぱねられる強さを持っていた。静かだがとても力強かった。血が繋がっている、いないなどは関係ない。と本気で思った。

 吉岡秀隆さん演じる、つばめの父。つばめが両親に暴言を吐いた時、叩くのではなく優しくつばめの頭を撫でた。そこにもどこか、強さも優しさも感じた。あの吉岡さんの演技で涙が溢れた。ただ、頭を撫でるだけの演技で、諭すだけで、父の強さも優しさも感じ取る事ができたのは、丁寧かつ繊細な吉岡さんの演技があったからなんだと思う。

 つばめの隣に住む大学生を演じた伊藤健太郎。普通を演じることは恐らく難しい。それでも、普通の大学生に見えた。家族思いで優しく、悲しい時は悲しいと表現する。よくいる大学生だった。この映画にふさわしいくらい、爽やかな演技で最後までつばめの隣にいてくれた。本作以外にもすでに、「今日から俺は!!」「弱虫ペダル」が公開されているが、どれも違う伊藤健太郎だった。伊藤健太郎史上一番爽やかだと思う。

 書道室の(牛山)先生を演じた山中崇さん。字にはその人の性格が表れる。とよくいうが、牛山先生はつばめが書いた字からつばめの心情を読み取るが上手だ。図星を突かれて反発するつばめでも牛山先生の前ではきっと嘘はつけない。山中さんが演じた牛山先生は優しいではなく、「温かい」という言葉がよく似合う。

 

星ばあの言葉

 「大人になればなんでもできるようになる」と言った星ばあの言葉ほど力強いものはない。

昔悩んでいた事がとてもちっぽけなものに見えてくる時がある。それでもあの頃の自分にとってはとても重大な事で、一生解決しないのではないかと思ってしまうほどだ。それが今では、乗り越えられている。そんな気がしているだけなのかもしれないが、そんな気がするだけでも過去の自分からしたら大きな一歩ではないだろうか。本作を観ていると、ただの日常がとても特別なように感じた。

 背中を押してくれる作品ではない。観た方が一歩踏み出すまで、強くなれるまでそっと隣にいてくれるような作品だと思った。こんなにも優しい映画に出会った事がない。

 

 強く背中を押されたわけではないのに、観た後に自分が一歩踏み出せたような感覚になった。とても爽やかで、優しく温かい作品に出会えて良かったと心から思った。

君が世界のはじまり

君が世界のはじまり

監督 ふくだももこ

脚本 向井康介

出演 松本穂香 中田青渚 片山友希 金子大地 小室ぺい 甲斐翔真

 

 

本作は上映劇場が少なく、なかなか見に行くことができなかった作品。終映が間近に迫った今日、ようやく鑑賞することができた。

最近、松本穂香という女優から、目が離せなくなっている。いつから気になっているのかも、どの作品から気になっているのかも記憶にはない。ただ一つ、記憶があるのなら【JR SKI SKI】のメインキャストに選ばれたことがきっかけで知ったのは確かだ。それから何作かに出演しているが、コレが好きと胸を張って言えるものはいまだにないのが現状だった。

そんな彼女だったが、ポスターに映された彼女の瞳に吸い込まれた。本作が近日公開されるとのことで、どうしてもこの作品だけは劇場で観ないと後悔をしそうだと思い、足を運んだ。

 

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 あらすじ

本作のあらすじを公式サイトから引用させていただく。

 

「君が世界のはじまり」のもとになった小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」は、私にとって、どうしようもなく特別な物語だ。

“青春”という箱の中に入れられるのを嫌悪していたあの頃の、胸を突き抜けて飛び出しそうなエネルギーが、すべての登場人物に詰まっている。この映画が、どこへも行けない、何にもなれない、そんな風に思っている誰かの、はじまりのきっかけになればいいと願っています。

 

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みんなの心

 

主人公である、縁。何も悩みがなさそうで、よくいる高校生という印象だった。

松本穂香でないと縁は演じることが難しかったのではないか、と思う。終盤まで松本穂香の演技に良い意味で騙されていた。縁の目は、誰かを想っているような、でも、”誰か”に遠慮してその想いを自分の中で秘めている様な、そんな印象を受けた。

これが私が終盤まで騙されていた。と言う理由だった。側から見たら悩みがなく、勉強もでき、家族も”理想”の形だ。それでも彼女なりに抱えた何かがある。それを自分は吸収できた様な気さえするのに、実際には最後まで彼女が何を考えていたのかは分からなかった。

 

そんな”普通”の高校生の隣にはいつもある女の子がいた。琴子だ。縁とは正反対の性格をしている。スカートも校則を無視して短い。授業もよくサボる。タバコも吸っている。そして、テストの結果は琴子が最下位だ。

 

縁と琴子がどうして一緒にいるのかと不思議に思う。そして、当事者たちもそう思っている。

印象的だったシーンは「あんたはなんでうちとおるんやろうな」と、琴子が縁に疑問を投げかけるシーン。本当に疑問に思っている琴子に対し、縁の瞳には何かを訴えかけている様な、自分もよくわからないと言っている様なそんな瞳をしていた。

 

2人とは抱えている葛藤が少し異なる、純。彼女は家族に対して嫌悪感のようなものをずっと抱いていた。その嫌悪感を抱いている相手というのは、純の父だった。そんな父から連絡が来た時、純は息苦しくなる。そして、「気が狂いそう」と、検索した。そこで、たまたま出てきたTHE BLUE HEARTSの「人にやさしく」。それを聞きながらショッピングモールを軽快なステップで周囲の目を気にすることもなく、駆け巡る。あのシーンは本作でもベスト3に入るくらい好きだ。

そのままのテンションで屋上に行く純。屋上についてもなお、軽快だった。その時に映し出された空は、とても綺麗だった。何も不純物がない、綺麗で真っ直ぐな空だった。今の潤を映し出しているみたいな、そんな気さえした。

 

そこで見た光景に驚く純、そこには同級生の男の子がいた。それが伊尾だった。伊尾は、父親の再婚をきっかけに東京から大阪に越してきた。本作で登場する人物で、恐らく一番”東京”への強い執着があり、ここから抜け出したいと思っている。

ここで出会った純と伊尾はよく一緒にいるようになった。

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怒り

 

私は、登場人物全員に対して、何をそんなにも”誰か”に怒っているのか。喜怒哀楽の激しさはどこから来るんだろうか。気持ちが切り替わる瞬間がどこにあるんだろうか。そんなことをずっと考えていた。

きっと、高校生の頃に見ていたら、感情が切り替わる瞬間や怒りに対して、そのタイミングで共感できたのかもしれない。だけど、社会に出て数年たった今、勘ぐることしかできなかった。これが大人になるということなのか。と、劇中に何度も考えてしまった。

 

「青春」とは何か。それは単に恋愛と言う括りだけでは定められない。そもそも「青春」とは学生だけにあるものではないと言うこと、それを本作を見て強く感じることができた。
青春の中には、高校生らしいとか、学生らしい、とかそのような言葉があることはおかしいとは思わない。ただ、大人も誰かと出会うことで、何か出会うことで世界がはじまることがたくさんある。それが、一瞬しかない学生の頃、どうしても受け入れたくないことや、受け入れているのに違うと思ってしまうことがあるだけなのかもしれない。そこに大人も子どももきっと関係ない。

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大人になりきれていない自分を受け入れる

 

営業時間をすぎたショッピングモールで、縁、業平、岡田、純、伊尾がみんなでTHE BLUE HEARTSの「人にやさしく」を歌い演奏するシーンがある。弾いたこともない楽器を使って、各々が思うがままにその歌を表現し、今あるいろいろな感情を放出させている。理由はわからないが、何となく涙が出てきた。理由があるのかないのかもわからないが、眩しいと思ってしまった。


みんなが次第に、その悩みに対してきちんと向き合うことができたということが少しずつ垣間見れた瞬間だった。

 

ショッピングモールから去るとき岡田が、「俺たちってガキだな」とみんなに言い放つシーンがあった。たった一言だが、あのセリフがなければ、自分はまだ大人になりきれていない事実を、きちんと受け入れることができなかったんではないか。そう思わされるようなシーンだった。

三者からすれば、「営業時間外にショッピングモールに忍び込んだ高校生たちがはしゃいだ」だけだ。それでも、あの場にいた全員が自分の中の悩みも葛藤も、受け入れられた瞬間だった。それがどれだけ尊いものなのかは、当事者でないと感じることができない。

 

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君が世界のはじまり

 

本作で登場する 縁、琴子、純、業平、伊尾、全員のなかに『君』が存在していた。そして、それが『世界のはじまり』だった。

 

その世界がはじまったとき、必ずしも後味が良いとは限らない。青春が爽やかなものであるとは限らないと同じように、その世界を見つけたからと言って未来が明るくなるとは限らない。

 

だが、その世界がはじまったときにはその世界に溺れてみたいと思えた。

 

私にとって、世界のはじまりのきっかけをくれたのは誰だったんだろう。辛い想いをしても、「My name is yours」と叫べる日があったんだと思うと、少しだけ心が救われる。

あの頃は嫌悪感を抱いていたかもしれない。受け入れることができなかったかもしれない。それでも、【君が世界のはじまり】を観て、あの頃の自分を少しだけ肯定できた。自分にとって、そんな作品となりました。

 

新しい世界を見せてくれた人を大切にしたいと思えるのはとても素敵なことだ。大人になった今も、君が世界のはじまり、そう言い切れるほどの熱量を持って誰かとであってみるのも悪くないのかもしれない。

 

 

 

 

弱虫ペダル 舞台挨拶LV

8月15日(土)、グランドシネマサンシャインにて『弱虫ペダル〜ライブビューイング付き〜』を鑑賞した。

朝9時からの舞台挨拶ライブビューイングのチケット争奪戦を勝ち抜き、見事鑑賞することができた。余談だが、このライブビューイングのチケット争奪戦。約1時間、各映画館のサーバーがダウンしていた。主演が永瀬廉くんということでかなりの人気があるようでした。

ここでは映画の感想ではなく、ライブビューイング(LV)を観た感想を述べていきたい。

登壇者(順不同):
三木康一郎監督、永瀬廉(King & Prince)、伊藤健太郎坂東龍汰、菅原健、柳俊太郎、井上瑞稀(HiHi Jets)

登場


伊藤健太郎、まさかのスーツで登壇。予想外すぎて気持ちが追いつかないが、1人で来ているので平常心を保つ、のに必死だった。
伊藤健太郎のスーツ姿ってよく見るようで、よく見ない。それを舞台挨拶で見られるなんて貴重すぎた。スタイリストさんありがとう。

柳俊太郎くんのスーツが紫色だったと思うんだが、それがまたカッコ良かった。劇中では、髪の毛は長かったんだが、さっぱりした髪になっていて、ギャップ萌えした。

挨拶


ここで、一人一人挨拶をしていくんだけれど個性豊かな感じでこれもまた可愛いの大渋滞だった。

ちなみに、言っていることはみんなほぼ同じような内容だった。が、だからこそ各々の性格が最大限に出ていた気がする。


一番印象的だったのは、やはり柳俊太郎くんだ。
見た目からしてハキハキ話す人ではないのかなと思ったら、まんまその通りだった。と言うより、想像の遥か上を言っていた。

本作主演の、永瀬廉くんが「寝てるの?」と、会話の途中で区切るくらいには覇気がなかった。ほぼ寝起き状態だった。それがまた可愛い。年上だけれど、とてもキュンキュンしてしまった。

「最近、グっときたこと」


ここでは、一人ひとりに話を伺っていた。個人的にはこのコーナーかなり面白かった。(一通り紹介したい)


 永瀬廉くん

「本作をキンプリメンバー(平野くんはお仕事の関係上欠席)で鑑賞した後、メンバー全員からお褒めの言葉をいただいたこと。」

「高橋海斗くんが、劇中3回ほど涙を流した。が、高橋海斗くんはよく泣くのでそんなに嬉しくはなかったんですけどね」と、笑いを交えながら話してくれた。
おそらく、会場のほとんどが永瀬廉くんお目当てであったと思う。だから、メンバーがいない場でメンバーの話が聞けるのはファンにとっては大歓喜だった気がする。
 

伊藤健太郎

「運転中横断歩道に差し掛かり、年配の女性が渡っていた。少しゆっくりだなと思いながら渡り切るのを待っていたところ、後ろから年配の男性がその女性の手を取った。長年の(恐らく)夫婦で、歳を重ねてもこうして手を繋いで歩いているのを見たとき、ぐっときた」と話した。

会場は少しシーンとなってしまい、すかさず「え、グッとこないですかね、、」と、少し戸惑っていた。


それを見た伊藤健太郎ファンの私は、『可愛い、、、そこに感動できる素直な心が尊い。ぐっとくるよくるよ、ちょっと泣きそうになったぞ。』と心で叫びまくっていた。が、本人に届くことはない(沈)


この時、「本作に関係ないことでもいいんですよね」と前置きをし、少し悩んでから話始めていた。そこで永瀬廉くんから「ないの?」と、揶揄われていた。これに対して、「最近の話ではないから話していいのか迷った」とのことでした。

いや〜〜〜〜、いい。総じて、いい。一つ一つの言動に感動する私はかなり伊藤健太郎に脳内犯されていると思う。もっと彼の活躍が見たい。(願望)


坂東龍汰くん

「(記憶が曖昧(陳謝))、番宣を見るために、柳俊太郎くんに連絡をとったとき、「何食べたいか?」と聞かれた」ことが、ぐっときたらしい。

ちなみに、この時しゃぶしゃぶを用意して待ってくれたのだと言う。
一人暮らしをしているから、料理を作って待ってくれているこの状況にグッときたと仰せだ。確かに、分かる。分かる。
そこで、柳俊太郎くんから一言「俺はもともとしゃぶしゃぶを食べる予定だった。お前のために作っていたわけではない。そして、ぐいぐい来すぎだ」と、坂東くんに一言。

きっと、ツンデレとデレデレコンビなんだろうな。と想像できて、いいぞもっとやれ!!と、坂東くんの背中を静かに押しておいた。この2人、また共演してそんなエモい話をもっと聞きたい。と、テレビ各局にお願いしたい。

橋本環奈ちゃん

「もともと、涙腺が弱くなく学校行事でみんなが泣くような時も、泣いたことがない。けれど、最近「はじめてのおつかい」を見てぐっときてしまった。甥ができたことも大きいのか、歳のせいなのかわからないが、子供が何か頑張っている姿を見ると涙腺が緩くなる」と言っていた。

会場からは「母性の芽生えですか?」と、笑いが起こった。
橋本環奈ちゃんとは年が1個違いなんだけれど、とてもわかる。わかるわかる。涙腺って年々緩くなるんだよね。しかも自分のことではないことで涙が出てきたりする。不思議なものだな。


柳俊太郎くん

「環奈ちゃんと同様で、小さい子を見ているとぐっとくる。」らしい。

最近姪っ子ができ、姪っ子の動画がよく送られてくるそうだ。それを見て、「かわいい、、、、」となっているそうでした。

その「可愛い。」となっている君も可愛い。誰だったか忘れたが、ここで「母性本能の芽生えですか?」とツッコミが起きた。
母性本能、、、??って首を傾げていたが、それもまたにやけてしまった。


菅原健くん

「姉から結婚をしたと報告をされた時、姉がほかの誰かの家族になるんだな。と思ったら、グッときた」と言っていた。

めちゃくちゃめでたい話をぶっ込んできて、心の中で盛大のおめでとうを言ってしまった。どっかの会場に来ているらしく、そんな姉思いの弟なんて、めちゃくちゃ可愛いんだろうな。って言う想像しかできなかった。

井上瑞稀くん

「みんなより少し年齢が下だったこともあって、とても緊張して撮影に加わった。そこで、柳くんと坂東くんが優しく声をかけてくれて、緊張が和らいだ」ってことでした。

やはり、柳くんと坂東くんは仲がいい。のかもしれない。と言うか、坂藤くんの押せ押せに押されている柳くん、と言う図である気がする。ここでも仲良しエピソードを聞けて心がほっこりしてしまった。

三木監督

「俺の話聞きたい?」と笑いを誘いつつ、話をしてくれました。三木監督めちゃくちゃフレンドリーだった。

「(前半の話全く思い出せない。。陳謝)」「編集している方たちが、本作を編集中にすでに何度も見ている場面なのに、都度涙を流していて、気持ち悪かった」と言っていた。
それは愛の言葉だな〜と感じて、少し泣きそうになった。裏方さんの話を聞ける機会なんて早々ないから、そう言った話が聞けて尚且つその方達も感動していた。というのは、かなりグッとくる何かがあった。

そう、きっと監督にとってもそれがグッと来たんだろう。

____

そんなこんなで一人一人なんだか尊いぞ。。と言う気持ちが強まった。この後、何かを話していたような気がするんだが、記憶力が乏しいため、思い出せない。(沈)
サプライズで三木監督から主演の永瀬廉くんに手紙を書いてきたのだが、関係のない私が泣いた。

意外と手紙が長くて書き出しきれないが「芝居は、上手い下手より大切なものがあると、永瀬廉くんが主演をやって再確認ができた。熱があると言うのは見ている人のに必ず届く。」みたいなことを言っていた。(記憶力…)

手紙を読み終わった後、健太郎に話がふられた。(文中で彼の話が出たから)
手紙を聞いている時、健太郎きっと感動しちゃってるんだろうな〜なんて思っていたら、本当に感動していて「僕が泣きそうになっちゃいました」と目を少し赤くしていた。

そう言うところめちゃくちゃ好きだったりする。自分の感情を隠すことなく言葉にできるって簡単なようで難しかったりして、売れてきた今でもそんなことができるの本当に好きしかない。

あの時の健太郎をファンが見たらもらい泣きしていると思う。その中の1人が私。これを書いている今でも涙腺が弱くなるのがわかる。舞台挨拶は落選したが、LVに行けて本当に良かったと心底思った。

この後、何かあったような気もするが記憶力が乏しいので思い出せない。

写真撮影

最後、写真撮影があったので一度降壇した。再度登壇した時、健太郎が先頭だったんだけれど、スーツ姿で登場してきたので(最初と同じ)再度爆死した。

スーツ姿が似合うことはもっと世間に広めた方がいい。あれは広めた方がいい。脚がめちゃくちゃ細いと言うわけではない(むしろ、筋肉質)のだが、似合いすぎて直視できない。私は、伊藤健太郎のスーツ姿が好きだ。と、大声で言いたい。

話は逸れたけど、写真撮影で何度かポーズなどをとるときがあった。それがまた、私の性癖に刺さり涙が出た。

笑顔でお願いします。のところはまあ普通に「がっごいい〜〜」となってたんだけれども。なんだけれども。

本作主題歌のkey of Heartを口パクで歌い始めた。それは反則でしょう。と若干キレ気味なりながらグッと堪えた。

例えるなら、濃厚なカルボナーラに追いチーズをかけるような感覚(謎)。

というか、口パクは流石に心を持ってかれてしまい、放心状態だった。ちなみに、キンプリでは岸くんが好きだと言う彼。私もキンプリは岸くん推しなので、勝手に舞い上がっている。これは、主題歌なのもあるかもしれないが、きっと本当に好きなんだろうなと思った。てか、写真取っているときに口パクは草。と思った。結論、可愛い。


最後に、手を振ってくださ〜いって言われていて、みんな手を振っていたんだけど健太郎の手の振り方がこれまた私の性癖に刺さってしまった。

めちゃくちゃ適当に手を振ってたんだ。。と言うか、最初は手を振らずに身体を振っていた。この動きありえん可愛くて、頭の中が「ハテナ」でいっぱいだった。あの動きはなんだったんだろう。あれはなんだったんだろう。(混乱)

手は固定して体を振っていたのは謎すぎる動きで、めっちゃすこ。
手の振り方も独特で、手を振る。と言う概念が彼にはないのかもしれない。

あの瞬間「手を振る」ことを意識していたんでしょうか。していてあれなのか。とりあえず動けばいいや精神なのかすごい謎だった。とにかく、あれを映像化していただきたい。頼みます。フジテレビさん、映像化求む。。。

最後に、、、

全然話がまとまらなかったのですが、とにかく本日の伊藤健太郎は史上最強と言いたいくらいかっこよく、可愛く、全てが最高でした。

ビジュアルのことをあまり言うのはナンセンスかもしれないですが、弱虫ペダル伊藤健太郎は登場シーンから最後までずっとかっこいいです。恐らくすぐには終映しないと思うので、お時間ある時に是非劇場で見てください。

伊藤健太郎に限らず、劇中の登場人物全員に「かっこいい」と感じることができると思います。私は原作を見ていないのでなんとも言えないですが、実写化映画の中ではかなり好きです。

すでに、2回見ているのですがもう1回は少なくとも見に行く未来が容易に想像できるので、ファンってちょろい。

本当に余談ですが、すでに公開している「今日から俺は!!~劇場版~」では、カップル役で共演している橋本環奈と伊藤健太郎。本作では、幼馴染みの2人なんですが、今日俺とは全く違う2人のキャラに驚きを隠せないのと、「イチャつかない、京子と伊藤真司」が見られる。連続で本作と今日俺を見てみるのもかなり面白いかもしれない。